これは1900年代にかの有名な英国人作家D.H.ローレンスが発した言葉です。 彼は当時まだあまり知られていなかったサルデーニャ島を世の中に広く紹介した人の一人。
サルデーニャはこれまでに見たことがない、 出会ったことのない、 唯一無二の魅力にあふれた島だと語っています。
古代遺跡に覆われた、 青空の下の博物館のような島、サルデーニャ。 7000以上のヌラーゲ(この島でしか見られない何千年もの歴史を持つ建造物)や“巨人の墓”“妖精の家”“メンヒル”と
呼ばれる古代文明が残した遺跡が今も島を覆っています。
手つかずの素晴らしい自然はこの島の魅力の一つ。 サルデーニャの海は世界でもっとも美しい海の一つとして知られ、 内陸にはヨーロッパでもっとも深いキャニオンを有しています。 その雄大な自然もさることながら、 島を訪れる人をもっとも魅了するのは、 いたるところに見られる何千年もの歴史の足跡。 郷土料理から伝統衣装、 独自の言語から民族舞踊、 宝飾品から
ビッソ(古い歴史を持つ特殊な織物)まで、 サルデーニャ人の生活には今も悠久の歴史を垣間見ることができるのです。
サルデーニャと日本は不思議な糸で結ばれているようです。
沖縄とサルデーニャはどちらも「ブルーゾーン」と名付けられた世界に数か所しかない長寿ゾーンの一つとして挙げられています。
その長生きの秘訣はおそらく、 澄んだ空気と健康的な食生活、 水質、 適度な運動と地方文化の中にあると言われています。
温暖な地中海気候と豊かな自然、 エメラルドグリーンの澄み切った海に囲まれたサルデーニャには、 海の幸から山の幸までとにかくおいしいものがたくさん! 近海ではマグロや伊勢えび、 ウニなどが獲れるほか、 なんとカラスミの名産地でもあります。 こんなに豊富な魚介類に恵まれているサルデーニャ島ですが島民の食生活の中心は実は山の幸。 羊乳から作られるペコリーノチーズやヤギ乳のカプリーノチーズ、 陽気な気候からできる剛健なワインやオリーブオイル、 どれも素材が最高だから加工は最小限でシンプルにいただくのがサルデーニャ流。 島に流れるゆったりとした時間の中で、 ワインを片手に食材本来のおいしさを楽しんでみてください。
サルデーニャ島にはサルド語というイタリア語とはまったく違う言語が残っていて、 今も多くの人が日常的に使っています。 サルド語にもたくさんのバリエーションがあって、 隣り合う町でも方言がかわるほど。 レストランなどでここにある料理名と違うことがあるのはそのためです。
屋外で火を焚き、 直火で乳飲み仔豚をじっくりと焼き上げるシンプルで豪快な料理。 お祝いやお祭りごとのたびに作られる伝統料理で、 この大作業はたいてい男性陣に任せられます。 遠火でじっくりと焼き上げた仔豚は皮がパリパリで中は柔らかくてジューシー。 まだ乳離れしていない小さな仔豚を使うので、 ほんのりとミルクの香りがします。 ミルトというサルデーニャ特産の香り高い葉っぱをのせた大きなコルクの皿に盛り付ければ出来上がりです。
島民の倍以上いると言われる羊の数。 ヤギの数も多いので、 羊乳から作られるペコリーノチーズとヤギ乳のカプリーノチーズがたくさん作られています。 ペコリーノチーズは風味豊かで独特のおいしさをもつだけでなく、 牛乳から作られるチーズよりもだんぜん栄養価が高いのが特徴。サルデーニャの食卓からは切り離せないペコリーノチーズは島民の健康を支える食品のひとつでもあります。 ぜひ長寿のワインと言われる赤ワインのカンノナウを片手にこのペコリーノチーズを味わってみてください。 おいしいだけでなく寿命が延びるかも?!しれませんよ。 DOP(原産地名称保護制度:優れた伝統食材にのみ与えられる品質認定表示)のチーズは3つともペコリーノ。 ペコリーノ・サルドPecorino sardo、 ペコリーノ・ロマーノPecorino romano、 フィオーレ・サルドFiore sardo。
カルタ・ダ・ムジカCarta da musica(音楽を奏でる紙)ともよばれる薄くてパリパリのパン。 水分が少ないから長期保存が可能で、 紀元前から、 放牧で長く家をあける羊飼いたちのための保存食として作られていたと言われています。 ごく薄くのばしたパン生地を高温の薪窯で一気に焼き上げ、 大きく膨らんだところを横半分に切って窯に戻すと、 カリッカリのカラザウパンの出来あがり。 パテや生ハム、 チーズをのせて食べたり、 小さく割ってサラダやスープに混ぜたり、 ラザニアのように調理したり、 シンプルに搾りたてのオリーブオイルを垂らして食べたり。。。 とにかくサルデーニャの食卓には欠くことができないアイテムです。
牧畜がさかんな内陸部の郷土料理のひとつで、 美しく包まれたフレッシ ュパスタの中にはジャガイモのピュレとチーズ、 ミントなどが入っています。 どこにでも手に入るシンプルな材料で作られていますが、 手間をかけて作る稲穂の形には豊作の意味も込められていることから、 お祝いの日や家族がそろう日曜日など、 いつもよりちょっと華やかな食卓に登場します。 きれいに包むのはけっこう難しいですが、 ぜひお料理レッスンで挑戦してみてくださいね。
北アフリカで作られるクスクスを少し大きくしたようなパスタで、 少なくとも10世紀ごろにはもう作られていたと言われています。 市販のフレーゴラは、 専用のパスタマシーンで作ったボール状のものと、 手で成形した不規則な粒状のもの、 二つのタイプがあります。 普通のパスタとは作り方がずいぶん違い、 家庭で手作りする場合は、 底の広いテラコッタにセモリナ粉と塩を加えたぬるま湯を少しずつ交互に入れながら、 手で円を描くようにかき混ぜ、 そぼろ状になったパスタをオーブンで乾燥させて仕上げます。 地域によっていろんなレシピがありますが、 アサリとフレ ッシュトマトのソースでいただくのが代表的な食べ方です。
フレッシュパスタで作ったスイーツラビオリ。 昔はイースターのためのお菓子でしたが今では一年中食べられます。 ラードが練りこまれた大型円盤状のパスタの中にはレモンの皮で香り付けしたフレッシュペコリーノチーズが入っていて、 揚げたてアツアツにハチミツをたっぷりとかけていただきます。 デザートとはいってもラビオリには砂糖が一切使われていないのでハチミツの甘みと揚げラビオリの組み合わせが新しい感覚かも!
サルデーニャは実はおいしいワインの宝庫。 一年を通して温暖な気候と古い土壌、 起伏に富んだ地形と強い風によってバラエティ豊かなすばらしいワインに仕上がります。 強い日差しを受けて育ったブドウから作られる島のワインは全体的にアルコール度が高めで、 しっかりとした風味豊かな味わいが特徴です。 赤ワインの代表は何といっても“カンノナウCannonau”。 地中海地域でもっとも古い品種の一つと言われ、 一般的な赤ワインより多く含まれるポリフェノールがサルデーニャの長寿の一因ではないかいう学者もいます。 白ではDOCG(統制保証付原産地呼称ワイン:イタリアワイン格付けのトップ)の“ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラVermentino di Gallura”が代表的。 島に100ほどあるワイナリーは 、そのほとんどがごく小規模で生産量も少ないためあまり広く知られることがありませんが、 お手頃な値段のとびっきりおいしいワインがゴロゴロしているので、 サルデーニャ旅行の際は思いっきり飲み比べをしてお気に入りのワインを見つけてみてください!
長崎の名産として知られるカラスミですが、 実はここサルデーニャでも紀元前から生産されていて、 サルデーニャ人にはとても親しみのある食材の一つです。 スライスしてそのまま食べるだけでなく、 おろしてスパゲティにまぜたり、 野菜と合わせてサラダ感覚で食べたり、 なんとピザの上にものせてしまいます。 古代都市タロスの遺跡やカーニバルで有名なオリスターノOristanoの町からほど近いカブラスCabrasという小さな町が産地として有名なのでぜひ足をのばして軽くてお土産にも最適なカラスミを手に入れましょう。 ボラのカラスミだけでなく、 ちょっと珍しいマグロのカラスミもありますよ。